Pilotのキャップレス万年筆にプラチナ万年筆の顔料インクを入れて1年ほど使った感想
耐水性を求めキャップレスでプラチナ万年筆の顔料インクを試してから一年ほどたった。 ということで実際つかってどうだったのかみたいな話。
はじめに
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- 別ブランドのインクはメーカー保証対象外となりますので、挑戦する際は自己責任でお願いします
- 今年(2022年2月当時)待望のPilot純正の顔料インクが発売されたため、今ならそちらの方をお勧めします
経緯
筆者は故あって1キャップレスというノック式の万年筆2をメインの筆記具として愛用している。このペンは万年筆特有の滑らかな書き心地に、ノック式によるボールペンのような取り回しの良さを兼ね備えた、非常に実用的なペンとしてなくてはならないものとなっている。
そんなキャップレスの唯一の懸念が耐水性。というのも当時純正のインクは一般的に水に弱い(後述の通り例外あり)染料インクしかなく、(耐水性の高い)顔料インクが一年前の当時なかったのである3。
といっても染料インクでも純正のブルーブラックのような例外的に耐水性が高いインク4もあり、筆者もそれを使っていて特に問題なかった5。 1年前、体調の関係で手汗が垂れるほどに悪化するまでは。
ひどい手汗で純正ブルーブラックでもにじみが無視できなくなった結果、とうとう顔料インクを試すことを決心した。
試したインク プラチナ万年筆の顔料インク
- プラチナ万年筆 万年筆用水性顔料インク
万年筆向けの顔料インクは複数の会社が出しているのだが、今回はプラチナのインクにした。 理由は(黒だけではあるが)比較的歴史が長いのと、混色が可能である6という点。というのも、ブルーブラックやワインレッドといった暗い、黒ではない色を2色使いたかったのだが、ちょうどいい色が既製品に見当たらなかったため。ブルーにブラックを混ぜてブルーブラックを、レッドにブラックを混ぜてワインレッドを作った。
一年つかって見て
- インクの耐水性は全く問題ない
- 一度乾けば濡れても滲まず、色移りもしない。
- ニブの固着防止のためかゲル上になっており、乾くまでやや時間はかかる。
紙が水分を吸うのでノートではさほど問題ないが、油性ペンのようにプラスチックなど水を吸わないものに使えるわけではない。
- ペン先が乾きやすいキャップレスでも、毎日使っている分には問題ない
- 日数が2、3日空いたり、インク切れなどでペン先が乾くとすぐにかすれだす。
- こうなると染料インクと違い、インクを補充しただけでは戻らない
- プラチナ純正の洗浄液で回復可能なので致命的というほどではない。(洗浄液が吸えないほど詰まったらダメそうだが)
- インクの固着によるキャップレスの開閉機構への影響は特になし
- キャップ周辺のインクが乾いて固着し開閉にトラブルが起きるのではないか、そう懸念をしていたが問題なし。
- 乾いたインクは垢のように蓋のあたりに溜まっていた。
あまりたまると筆記中に落ちてきそうなので、そのうち綿棒やつまようじで掻き出す必要があるかもしれない
ということで、インク切れに気を付け、毎日使えば問題なかった。 自分のようにメインの筆記具として使う分には耐水性も得られ非常によかった。7
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具体的には左利きと手汗が合わさって、ボールペンやシャーペンといった一般的な筆記具はペン先を紙に押し付ける必要があり、滑らないよう力んで指が痛くなる。その点万年筆は紙の上を滑らせるだけで良いのでとても楽なのである。 ↩︎
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具体的にはパイロット 万年筆 キャップレス 木軸 ブラック 細字(F) FC-25SK-B-Fが手触りがよくて好き。 ↩︎
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万年筆のインクについて補足しておくと、万年筆用のインクには大きく分けて染料インク、顔料インク、古典インクの3種類ある。といっても万年筆のインクとしては染料が圧倒的な多数派なので、耐水性をもとめるのが贅沢といわれてしまえばそれまでではあるが、筆者の筆記に関する悩みの一つとして、手汗と左利きにより手が汚れやすいというのがあり、可能な限り耐水性がほしかったのだ。 ↩︎
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筆者は試していないが、ブラックもそうらしい。原理が気になる。 ↩︎
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具体的には手汗で濡れた手でふれると多少色が移るくらいで、視認性には問題なく、ついた汚れも水に溶けてすぐ落とせるので、さほど気にならなかった。どちらかというと鉛筆の汚れのほうが乾いていても色が写って微妙に落ちづらいのでよほど厄介だと思う。 ↩︎
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公式HP によると、「顔料インク同士の混合は不可能ではありませんが、色目がくすんでいきますのでご注意下さい。」とのことで、彩度を落とす目的での混色は問題ない思われる。 ↩︎
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逆に言えば、毎日使うメインの万年筆一本以外では難しいと思う。実際のところ、別の色のキャップレスを強調用で使っていたのだが、こちらは毎日つかうとは限らず、乾かないよう意識的に落書きをしたりなど、余計な心配や手間が増えてしまったため、結局使わなくなった。 ↩︎