【感想文】ソニック・ザ・ムービー

はじめに

経緯

先日ソニックの映画を見た。

この映画の存在を初めて知ったのは例のキャラクターデザインの炎上の件。結局キャラクターをつくりなおすという、悪く言えば迷走、よく言えば英断をしたのが良くも悪くも記憶に残っていたので、結果どうなったかが気になっていた。 ソニックのゲーム自体はまともにやったのはソニックカラーズ1作なのでさほど思い入れがあるわけではないが、終盤の演出が爽快だった覚えがあっり、もし似たような展開を映画でやるならぜひスクリーンでみたいというくらいにはよかった。

なによりゲーマーでかつ最近映画に興味を持ちだした身としてはゲーム原作の映画というのはかなり気になるところだった。ゲーム原作の映画というとマリオの魔界帝国の女神くらいしか見たことないが、あれも独自解釈がつっこみどころ満載で面白かったし。失敗扱いらしいのであれと比べるのは適切ではない気もするが…。

ということで、見に行った

(このご時世なんで念のため言い訳強調しておくと、道中はバイクで映画館は一席ずつ開いていたので密についてはまったく問題なかった。)

映画の感想を初投稿するのに特に思い入れがあるわけでもないソニックというのもなんだけれど、思い入れがないからこそ気楽にかけるという面もあるしな

映画について

映画『ソニック・ザ・ムービー』公式サイト 平たく言うとセガの看板キャラクター、ソニック・ザ・ヘッジホッグの実写映画である。

大筋としてはソニックがエッグマンを倒すという(マリオでいえばクッパを倒すみたいな)ゲームのお約束通り。

よかったところ

あだ名の話

とくに気に入っているのはあだ名のエピソード

本作のソニックは宇宙人で、もともと住んでたところでその力を狙われて襲撃に会い地球に逃げてきて、また狙われないように人里に隠れて住んでいるという経緯もあって、ソニックは町のみんなをよく知っているけど、町のみんなはソニックを知らないという状況。だからソニックはドーナツ卿(パトロール中一人の時にドーナツと会話してる警官、もう一人の主人公っぽい立ち位置)をはじめとして町の住人にあだ名をつけてるで呼んでる.陽気な面もあるし、実際に名乗りあう機会も負かったであろう寂しさも感じられて、納得できる設定だった。

でその流れがあってからのライバルのエッグマンである。 エッグマンという名前はソニックがつけたあだ名で本名はロボトニックというのは一応本編でもある設定らしいが、どちらかというと裏設定的な話でゲーム中では基本的にエッグマンだった。(少なくとも筆者がプレイしたソニックカラーズではあくまでもエッグマンで本名は出てこなかったはず。ほぼストーリー覚えてないが…。) 一方でこの映画ではエッグマンという名前が出るのは本当に終盤、ソニックとエッグマンが正面から対峙する場面である。 視聴時点ではエッグマンの本名の設定を知らなかったこと、ロボトニックがゲームのエッグマンとは全く違った強烈な個性を出していたこともあって、本作の悪役はエッグマンではなくロボトニックという、エッグマンを独自解釈した別名のキャラクターなんだなと、そう納得しそうになった矢先におなじみのエッグマン呼びはそうくるのかと、とても納得がいく、印象深いいい演出だったと思う。

ジム・キャリーが演じるロボトニック(エッグマン)

まず映画のロボトニックはエッグマンとは見た目が全然違う。終盤、赤いコスチュームにゴーグルという恰好をした段階でようやくエッグマンである確証が持てたくらいには違った。 そもそも原作のエッグマンは名前の通り卵のような、極端なメタボ体型をしている(そもそもソニックがつけたあだ名なので名が体を表すのも当然なのだが)一方で、映画のロボトニックはとくに太ってはいないあたりからして全く印象が違う。代わりに本作ではエッグマンという名前は彼のドローンの白い丸っこいデザインに由来している。

これほど外見が変わってじゃあどうだったかというと、結論としては全然問題なく非常に良かった。 正直なところ、ソニックが無難だった分キャラクターとしてはソニックよりも印象に残っている。

実際に見てもらえばわかるのだが、本当にコミカルで憎たらしい素晴らしい演技だった

終始偉そうで、他人を見くだしまくっていて、子供っぽくて、不屈で。。。 そんなとにかく憎たらしいこのエッグマンがいたからこそ、話は盛り上がるし、落ちも笑える、この映画に欠かせないキャラクターだった。

気になったところ

以下個人的に気になった点。 どうも見た感じストーリー自体の問題というよりも文化圏の認識の違いによる違和感なのではないかという気がする

動物の扱い

序盤でカメをもって疾走するシーン

直後のカメがふるえてるシーンから、カメとしては有難迷惑だったというのは読み取れるとしても、カメはストレスに弱くて種類によっては住処が変わると餌食べなくなったりするから有難迷惑ですむのかと心配になってしまう。リクガメはタフだったりするのだるか

ドーナツ卿とアライグマ

ドーナツ卿、動物に優しいという紹介がありながら、ごみ箱をあさるアライグマ(狸?)にたいし獣医である奥さんの麻酔銃を持ち出すシーン。 おそらく文化的な認識の違いなのではないかという気がしているが、気になった。 アメリカ的にはアライグマは動物愛護の対象外なのか。射殺じゃなきゃセーフという認識なのか。

親友とその奥さんとの距離感

中盤の目的地であるサンフランシスコのビルにつくシーン、独りぼっちだったソニックがドーナツ卿と親友になって一緒に戦うというのは流れとしてわかるけど、その親友の奥さんまでが一緒に行く意味があったのかが気になった。 まあその時点でドーナツ卿が指名手配だったことを考えると一緒にいたほうが安全ってことなのかもしれないが、そこまでロボトニック操るドローンの襲撃を受けている状態だったからやっぱり同行するほうが危ない気がしてしまう。 その次のビルに上るシーンもドーナツ卿が警察手帳見せて職権乱用で侵入するのだけど、警察一人ならまだしも警察に同行者一人だと怪しさが跳ね上がる気がするが…。

また最後、ドーナツ卿の家にソニックが部屋をもらっているけど、ドーナツ卿が一人暮らしならまだしも、これだと家族かペットって感じで、親友とは違う感じがして気になった。ドーナツ卿に限らず町のみんなに受け入れられたのだから、町に家をもらうとかじゃだめだったんだろうか…。当人たちは犬も親友って言ってるからいいんだろうけど…。

物足りなかったところ

BGMはあまり印象に残るものがなかった。 一番印象に残っている曲はロボトニックが踊っているシーン。このシーンが悪いわけではない(むしろ全体で見て一番印象に残っているシーン)んだけど、盛り上がるシーンに盛り上がる曲が欲しかった 自分が唯一まともにプレイしたソニックカラーズは全体的にBGMがよく、とくに主題歌をアレンジしたラスボス戦と、そこへの道中、帰り道のステージが曲も合わさってすごく盛り上がった覚えがあり、そういうシーンを期待していたのだが、映画は残念ながらそういうシーンはなかった。(もっともとソニックカラーズはそこ以外は全く覚えてないくらいし、どうもカラーズは話の評判が悪いっぽいのでこの映画と比べるものではないのだが…。) ゲームの曲も一部使われていたらしいが自分は別にシリーズのファンではないので気づかなかった。

総評

たまに寂しがったりするがそれでも陽気で、原作通りなソニックの映画であった一方で、ゲームとは違うが憎らしくもコミカルなロボトニックの映画でもあって、ゲーム原作の映画としては本当によくできていたし興味深かった。 アメリカとの文化的な違いからか気になるシーンもあったものの、全体的には王道で、スピード感があって、盛り上がり、すっきり終わる、何かと暗い昨今にみるには ちょうどいい映画だった。