羞明対策にアーレングラスというサングラスを試す
蛍光灯がまぶしいので屋内用にアーレングラスという学習障害者向け(?)のサングラスを試した話。
初めに・免責事項
- 本記事内の商品へのリンクはAmazonのアフィリエイト広告となっております。
- 本記事の目的はアーレングラスのレビューとなります(入手過程を含む)
- アーレンシンドローム自体の詳細については扱いません
- 特殊なサングラスの一種を試したくらいの話だと思っていただければとおもいます。
アーレンシンドローム・アーレングラスについて
発達障害の特性の一つに感覚過敏、羞明というのがある。 この症状について、特定の色が苦手というのをアーレンシンドロームといい、それに対し苦手な色を抑えて改善するという処方薬(物?)となるレンズがアーレンレンズ、それを使ったサングラスがアーレングラスというらしい。(厳密には発達障害とアーレンシンドロームは症状が共通していたりして紛らわしいものの、原因は別とのこと。併発はある模様)
詳細は日本の窓口である筑波大学 付属学校教育局 心理・発達教育相談室に問い合わせるか、熊谷恵子著 アーレンシンドローム 光に鋭敏なために生きづらい子どもたちを参照。
アーレングラスの信憑性と筆者のスタンスについて
アーレンシングラスについて紹介するにあたって、これらの信憑性と筆者のスタンスについて明示しておく。 というのも、アーレンシンドロームはアメリカのwikipediaではPseudomedical diagnosis(偽医療?)扱いとなっており1、日本でも医学的な診断が得られるわけではないためである。
それを踏まえたうえでの筆者の考えとしては以下のとおり、(なお、以下の主治医とは筆者のADHDに関しての主治医である)
- 診断前の時点で白色光が特に苦手で、暖色の照明やレンズを試し、効果があることがわかっていた。
- 筆者に限れば色付きレンズというアプローチは信頼できる(アーレンシンドロームという診断の正誤にかかわらず)。2
- 日本の窓口が筑波大学であり、個人的にはと十分に権威のある、信頼できる窓口だと認識している。
- 他に適切な診断があるとして、日本においてどこで受けられるかわからない
- 羞明について、サングラスなどの処方は一般的ではない(主治医談)
- 眼科では緑内障や瞳孔が大きいなどであれば瞳孔をすぼませる目薬の処方があるくらい(主治医談)
- 医療用の遮光眼鏡もあるが、アーレンレンズ以上に高額で、補助の対象は身体障碍者か難病の方のみ。学習障害は想定されていないと思われる。
- 羞明について、サングラスなどの処方は一般的ではない(主治医談)
- 処方されるのがサングラスであり、(薬と比べれば)服作用のリスクが低い
- 合わなければ最悪使わなければいいだけ
- 値段は安くないが、医療用眼鏡と比べるとずっと安い3ので、法外というほどでもないだろう。
まとめると、アーレンシンドロームについては100%信頼しているわけではないが、色付きレンズによるアプローチ自体は有効(少なくとも筆者には)なので、羞明の症状があるなら試す価値は十分にあるといった感じ。
経緯
筆者は白色光、とくに屋内照明が苦手である。
気づいたきっかけは一人暮らしを始めたこと。慣れない環境へのストレスから感覚過敏が悪化し、普通のオフィスの蛍光灯が耐えられないほどにまぶしくなったことから、これまで自覚していなかった照明のまぶしさがストレスだったことに気づいた4。
それ以来、照明を暖色や間接光機能のあるものに5にしたり、眼鏡を軽い色付きのレンズ6にしたりいろと試行錯誤や工夫をしてある程度状況は改善していた。
とはいえ、依然として季節の変わり目などで体調を崩すと悪化し、とくにオフィスでの羞明が悪化することがあることから、オフィスで使うためのサングラスを買うことにした。
過去に買ったサングラスは合わなかったので、今回はちゃんとしたところに相談して合うものを選びたいしたい。ということで発達障害の羞明対策のサングラスについて調べたところ、筑波大学でアーレングラスという羞明対策のレンズを作ってくれるということで、さっそく頼むことにした。
取得までの流れ
診断やフィッティングについては特許とかの都合があるので詳しく書いてはいけないとのことなので、詳細は省略。 トータルでほぼ1年、費用は5万円弱といったところ。
申し込み
2022年春くらい
年始に電話で申し込み。羞明の症状があること、ADHDの診断済み、学習障害の傾向もあることなどを伝える
後日、アンケート用紙が届いたのだが、これがなかなか面白かった。主に感覚過敏についてのアンケートなのだが、自分に当てはまるのもあれば、そんな症状があるのかと考えたこともないものもあったり。 症状のほかにもサングラスや帽子など、「こういう対策をしている」という項目は対策の参考にもなった。
診断1回目
2021年7月某日 最初の筑波大学 東京キャンバス 訪問。
アンケートと過去に受けた知能検査の結果を提出した。
一度目は問診とちょっとした検査。検査といっても眼科のような機材をもちいたものではなく、図を見たり、文字を書き写したり、知能検査と似たような感じだった。 検査の詳細についてはどこまで書いていいかわからなかったので省略するが、普段の眼科検診ではやらない項目がいくつもあってなかなか新鮮で面白かった。
特に印象に残っているのは近くがちゃんと見えているといわれたこと(筆者は重度の近視で、近くが見えること=目が悪いと思っていたので)と、同じ記号の集合で描かれた絵がピントが合わせられず非常に見えずらかったこと。目の良しあしにもいろんな尺度があるのだなと感心した。
最終的にはアーレンシンドロームの可能性がありアーレンレンズが有効かもしれないということで、次回からフィッティングに入ることに。
当時コロナの緊急事態宣言中で、その間は新規予約ができないとのことで2か月ほど先に。
フィッティング1回目
2021年9月某日
2度目からはレンズのフィッティング。いろいろな組み合わせのレンズを試す。
本来であれば無色の眼鏡でやるべきだったのだが、普段つけてる眼鏡がほんのり色がついているのを忘れていた。色自体はかなり薄い(あくまでもブルーライトカットの範疇)ので、一旦は無視してそれで進めることに。 一応眼鏡の色なしで確認するために眼鏡をはずしたりもしていたが、裸眼だとほとんど見えないのであまり判断材料にはならなかった。
やはり暖色の色が落ち着くというのはあるが、それ以外でもなぜか見やすく感じるものがあり、不思議だった。 具体的には黄色や紫など。とくに黄色は警告色として定番なうえ、どちらかといえば嫌いな色だったのでかなり意外だった。
とはいえ、好き嫌いで考えると、そもそも好きな色は藍色や濃いめの翠などが好きだったので、暖色が落ち着くということ自体が意外ではあった。今さらだが、色の好みと見やすさは違うらしい。
フィッティング2回目
2021年10月某日、
今度は色なしのレンズを持ち込んで再度フィッティング。といっても前回までに選んだレンズと比べてもとくに見やすさは変わらなかったので、特に選びなおすことはなく前回の続きから。
この日でレンズは決まり、フィッティング終了。
納期はコロナで遅れるだとか、今後の話について確認して終了。
到着
1月某日 レンズが届く。
レンズの加工
紹介されたメガネスーパー高田馬場本店で加工をお願いする。
過去に買って合わなかったTALEXのオーバーグラスのフレーム7に入れてもらった。 8
出来たもの
とはいえ眼鏡と併用でき、上部の光も防げるとなるとこういったオーバーグラス型しかないので仕方がない。 筆者の職場は発達障碍者向けの特例子会社のため職場での着用については気にしなくていいのだが、それ以外での着用はかなり勇気がいる。
メガネと比べるとこんな感じ、大きい
反射してわかりづらいが、こんな感じで重ねて使ってる
使ってみて
つけるとなんとなく落ち着かなさが減って、楽になる。もともと自覚症状が薄く、体調が悪くなければまぶしいというほどのだが、それでもつけた瞬間に明らかに楽に感じるのは不思議。
ちょっと楽になる程度というと大したことなさそうだが、そんなことはない。つけていると明らかに目や首が疲れにくくなっている。 具体的に言えば、以前は毎日複数回目薬を差し、昼ぐらいには疲れて頭痛があったり、昼寝が必要だった。それがいまではほとんど必要なくなっている。
どうも自分にとって蛍光灯の光はゲームでよくある毒の床のような、いわゆるスリップダメージのようなもので、自覚がない間にも常に神経にストレスを与えていたらしい。
資格試験(ネットワークスペシャリスト)に持ち込んだりもしたが、やはり目に見えて持久力が上がる。この手の試験で最初から最後まで眠気に襲われず集中できたのは過去に記憶になく、このサングラスなしでは合格できなかったであろう。Toeicとか、他の資格も受けてみたい。
なお、疲れにくくなり集中も維持しやすくなったとはいえ、多動や注意欠陥が収まるわけではない模様。切ない
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2022年8月時点。日本語の記事は無い。 ↩︎
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正直なところ、白色光より暖色が落ち着くというのは(筆者の程度がひどいだけで)一般的らしいので、アーレンシンドロームの言う個人によって異なる特定の色が苦手というのには当てはまらないのではないか、どちらかというと単なる感覚過敏の一つなのではないかという気はしている。。 ↩︎
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具体的にはアーレンレンズは3万、遮光レンズはその倍くらいか。 ↩︎
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ちなみにこの時点では単にまぶしいだけで色については考えていなかった。そのため最初に買ったサングラスは薄暗く、色も暖色ではないため効果がなかった。 ↩︎
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具体的にはPanasonicの間接光・アラーム機能付きのLEDシーリングライトを愛用している。現行品(2022年8月時点)だとこれ)の形そのまま、ちょっと機能が違うもの。具体的にはおまかせタイマーという、午前中白色光、午後暖色光、夜間接光と時間で明かりを自動で切り替える機能があるのだが、そもそも白色光が嫌なので全く使っていないので現行モデルで十分かとおもう。 ↩︎
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具体的にはRay Guard 435のブラウンをずっと使っている。購入当時はこの時点で遮光レンズのかなり薄い色を買うつもりだった(まだサングラスをつけるというのに抵抗があったため)のだが、その色ならこちらの方がずっと安いと紹介されたのがこれ。実際このレンズ自体は色なしと比べればずっと楽になる。 ↩︎
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合わなかった理由はいくつかあるが、単純に色がオフィス用としては濃すぎたこと、暖色系でなかったこと、天井の照明がディスプレイにちらつくのが気になっていたため偏光レンズにしたのだが、液晶ディスプレイと相性がわるかったことだった。 ↩︎
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当時はViewnal という医療用遮光眼鏡のフレームを現地で買う予定だった。しかし側面のレンズが交換ができないといわれ、横と前でレンズの色が違うのは気になるのであきらめた。 ↩︎